当店で植物診療を始めて1年半が経ちました。
多くの観葉植物を診て来ましたが、その中でも特に多い植物が「フィカス・ウンベラータ」と「ガジュマル」です。
この2種類は、ホームセンターや植物店、雑貨屋や家具屋など、多くの店舗で取り扱われている人気の観葉植物です。
多くの人が育てているため診療件数も多くなってしまいますが、今回はこの22種類「フィカス・ウンベラータ」と「ガジュマル」の育て方を診療事例と交えながらご紹介したいと思います。
フィカス・ウンベラータ (Ficus Umbellata)
原産地:熱帯アフリカの低地、熱帯アフリカ西部
最低気温:10℃
フィカス=イチジク属は世界の温帯から熱帯にかけて約850種ほどのあります。ウンベラータは樹高6~12mほどになる常緑高木で、葉は大きくハートのような形状をしているのが特徴で、挿し木や取り木で増やすことができます。
診療でお持ちなるウンベラータの症状としては、「落葉・葉の変色」「害虫被害」が最も多いです。原因としては持ち主様によって管理方法や管理環境、購入時の状態などが全て異なるため一概にはいえませんが、ここでは原因の一部として多い”挿しっぱなしの液体肥料”“日照不足”“乾燥させずぎによる虫の発生”を挙げたいと思います。
”挿しっぱなしの液体肥料”についてですが、これはウンベラータに限らず大型の観葉植物を育てている方に多い原因の一つです。
土に挿しっぱなしでお手軽に液体肥料を与えられるものが市販で売られています。確かにお手軽ではありますが挿しっぱなしにしていることで必要がなくても水分を吸い上げるたびに肥料が葉脈を巡ってしまい”肥料焼け”や”肥料詰まり”を起こし葉の変色や落葉を招く原因になりやすいです。大型の観葉植物となると良かれと思って2~3本まとめて挿しっぱなしなんて方もいらっしゃいました。
肥料は生育期である4月~10月頃の間に、固形肥料又は液体肥料の用法用量を確認して与えます。挿して与えるタイプの液体肥料は一度吸わせた後は土から抜くようにして、間隔をあけて与えるようにしましょう。
次に“日照不足”についてです。ウンベラータは耐陰性はありますが、全く日が当たらないと葉を落としてしまうため、レース越しの窓際(※冬場は寒暖差が激しいため窓際に置かないように注意)や明るい部屋で管理します。
また、“乾燥のさせずぎ”についてはハダニなどの害虫が発生する原因となってしまうので、霧吹きを葉の裏表に吹きかけたり濡れた布巾で優しく拭いてあげましょう。
ガジュマル(Ficus Microcarpa)
原産地:東南アジア、沖縄
最低気温:5℃
精霊が宿る木として知られています。自然界では樹高25m以上に育つ常緑高木です。葉は肉厚で光沢があり、幹や枝から多数の気根(空気中の水分を求めて生える根)を出し、地に届いた気根は肥大し、横に伸びた枝を支えます。太い幹を挿しても容易に活着するため朴物としても利用されています。
ガジュマルの診療で最も多いのが「カビの発生」「幹の腐敗」です。これらの原因として考えられることは、“過度の水やり”“水はけの悪い土壌環境”“空気の流れが悪い場所での管理”などがあげられます。
ガジュマルは太い幹が特徴的ですが、この幹の部分は実は途中から根が生えています。この根は「気根」と呼ばれ、通常の根は土中から水分や栄養を吸収しているがこの気根は空気中の水分や栄養を吸収することができます。また、気根が成長することで木を支える役割もあります。
過度な水やりは根腐れを引き起こすため植物全般で気をつけなければなりませんが、基本的には土の表面が乾いてから鉢底に浸透するくらいたっぷりと水を与え受け皿の水はしっかり捨てるようにします。冬季は休眠期となるため、水やりは土の表面が乾いてから2~3日後に与えます。
置く場所は日当たりが良く空気が滞留しない場所に置き、冬場は窓際に置かないように注意しましょう。
また、ガジュマルは水やりを控えていたり乾燥させすぎていると、幹の部分から新たな気根を伸ばすことがあります。適度な水やりと葉水を与えてあげるようにしましょう。
今回はフィカス・ウンベラータとガジュマルのご紹介をしましたが、ここに記載しきれていないこともあります。
詳しい育て方や他の症状が気になっている方は、当店にてご相談ください。
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