【植物診療】カシワバゴムノキの症例

LL.K.植物診療SHOPという名の通り、当店では植物の診察・治療を行っております。


今回のお客様は、ご自宅にあるシェフレラ(ホンコンカポック)カシワバゴムノキの2種類の観葉植物を診てほしいというA様からの御依頼でした。

サイズが大きくお店までご持参が難しいということでしたので、出張料をいただいて主治医のDr.コバアシスタントDr.渚でご自宅まで訪問致しました。


本ブログでは、別々に症例を紹介していきます。

最初に診させて頂いたのは玄関に飾られているカシワバゴムノキ。

こちらはご近所のお花屋で購入されたそうです。

カシワバゴムノキはクワ科イチジク属の熱帯アフリカ原産の常緑高木です。


今年お店を開業し植物診療を本格的に始動してから、ゴムノキに関するご依頼が圧倒的に多いです。

ゴムノキ自体種類が多くありますが、観葉植物としても大変人気があり植物専門店以外でも手に入れることが容易ということもあってでしょうか。

ただ、症状や原因は様々なので、ゆっくり診ていきたいと思います。


今回ご依頼主様が気になっている点は葉に斑点ができていること。

見てみると確かに葉脈に沿って褐色部分が点在しています。

購入された時期は半年前ということで、この症状が出始めたのはここ最近とのことでした。

全体をチェックすると特に虫がついている形跡もなく、褐色の出かたから病気という感じもしない

一体何が原因だ?と考えました。


次に新芽を診てみる。新芽は特に症状が強く出ていました。

新芽を触ってみると、本来やわらかいはずが若干かたい

そして幹が全体的にカサカサです。

写真ではわかりづらいが全体的に幹がめくれていて、指で触るとポロポロと落ちる状態でありました。

元気なゴムノキは幹がめくれていることはない。

これはこの個体が水分不足または水分を吸い上げられていないことを示しています。ただ土は乾いておらず水やりはちゃんとしているのが分かります。


そして気になったのが、鉢に挿してある2本の液体肥料。(写真は抜いた後なので写ってはいない)

液肥の内容量から吸っている痕跡はある。。

御依頼主様にこの液肥はいつ挿しましたか?と聞いたところ、最近挿したとのこと。


整理すると、

・症状が出始めたのは最近

・葉脈に沿ってできた褐色

・虫や病気の形跡がない

・新芽にも強い症状が出ており、葉がかたい

・幹全体がめくり上がり水分不足

・水やりはちゃんとしている

・最近与え始めた挿しっぱなしの液体肥料

・液肥は吸っている痕跡がある


以上のことから診断結果は、

液体肥料による薬害


液体肥料)は基本的に化成肥料を水で溶かしたもので、植物の根に吸収されやすいものとなっている。お手軽に栄養補給できる優れものと思われているが、この液肥が時には毒となることがあります。


このゴムノキが、普段水やりをしていて液肥も吸っているのに幹がめくれるほど乾燥気味なのは、液肥による栄養過多で植物の水分の供給が間に合っていない状況です。


葉の褐色は、葉脈に沿ってできています。これは根から吸い上げた液肥が葉までいき渡っていることが分かりますが、挿しっぱなしにより次から次へと供給される栄養に耐えられず肥料焼けを起こしてしまっていることが原因です。

特に新芽というのは根から吸収されたものが一番先に影響が出るものであり、新芽の褐色具合と葉のかたさから断定できました。


治療としては特に処置はなく液体肥料を取り除いてもらい、しばらく水の管理に切り替えること。そして挿しっぱなしの液肥ではなく、その都度与える肥料に切り替えることが望ましいとご依頼主様にお伝えしました。

若干運送時のダメージが葉に現れている箇所が見受けられていましたが、こちらも特に治療は不要でご自宅で1ヵ月経過観察となりました。


次のブログでシェフレラ(ホンコンカポック)の症例をご紹介します。